Dinasour Jr.とTwitter

Twitterにはやはりソーシャル・メディア関連の実務家がたくさんいてとても面白い。マーケティングの流れが変わってきているのを肌で感じ、それをどう仕事に反映させるか真剣に考えている人が多くいて刺激的。今自分は管理部門にいるんで、お客さんに直接触れる立場にはいないのがややもどかしいのだが、シャドーボクシング的な感じかな。次はTwitterを通じて実際のコミュニケーションも広げていくようにしたい。

紅白でスーザン・ボイルが出てたけど、既存メディアとソーシャル・メディアの相乗効果がいかに力を持つかの好例。NHKはいいブッキングしたよな。歌もオーディションほどの衝撃はなかったけど、素晴らしかった。

アメリカロックの真髄、でありながら微妙に評価が低いDinasour Jr.とかが、ソーシャル・メディアの口コミで急に再浮上したりしたら面白いな。彼らのライブはわりと混沌としすぎなところがあるけど、それもまた魅力。Freak Sceneとかほんと名曲すぎて仕事辞めようかと思うわw

カート・コバーンの美しさ

Twitterはまった&年末わりと暇、ということもあってずっと放置していたブログなども最近更新してるが、ブログはつい改まって文章を書かねばと思ってしまうがゆえになかなか日々更新は難しいね。

さあ年賀状を書かねばと思いつつもう30日なのでが、例年通りだらだらと現実逃避して本を読んだりTwitterしたりDVDみたり。そう、NirvanaのLive at Readingがあまりに素晴らしくてずーと流している。高校生の頃BSで放送されたこの年のReadingのダイジェストを何度繰り返して観たことかと。Lithiumで観客と一体となって歌うカートの姿とかもうほんとかっこよくて、会場全体のNirvanaに対する愛情もがんがん伝わってきて、今こうやって書いてるだけであの頃感じたわくわく感を思い出す。

で、このDVDではなんとフルサイズでこのライブを観ることができる。1時間半もやったんだね。1st, 2ndの代表曲がほとんどつまってて、カートもほんと気持ちよさそうに歌い上げている。たまに調子が外れるギターも味があってこのざっくり感が彼らの楽曲のポップさを際立たせる。Teenage Fanclubと同じ文脈でNirvanaを評価すべし、といっていた佐々木敦はやはり慧眼であったなあ。

ライブのMCでも言っているけど、12日前に子供が生まれて、リハビリ施設で麻薬も抜いてクリーンになって、カートは本当に気持ちよさそうだ。ひどく純粋さを保った前髪に隠れた青い眼にその喜びが溢れている。ぼろぼろの病人のような、清潔さのかけらもない格好をしているのにそこには何か神聖なものが宿る。西洋画に描かれた迫害されるキリストのように、我々には、みすぼらしさと美しさのコントラストに何か純粋性や聖なるものを見出す感性があるのだろう。僕がカートに抱いていた思いはどこか信心に似た感情だったように思う。それは体系化されて明確な教義を持った宗教を信じる心とは違っている。もっと何か本質的に人が持つ、混沌としたうまく表現できないものが表出されていることに強く魅かれたのだろう。

「Courtney, we love you」と彼はつぶやき、観客にも繰り返させる。そして、彼が歌い始めるのはAll Apologiesなのだ。「全部おれが悪いんだろ、ごめんよ」と歌う彼の姿が美しすぎてもうたまらなくなってくる。

Live At Reading

Live At Reading

"Lithium" at Reading Festival

海外からのスパムフォロワー

Twitterに本格的にはまって1週間ほど。例にもれずフォロワーを増やしたいと思って検索して上位にあったので、このページを参考にしてみた。投稿内容はIT, 経営, 国際ニュース, 音楽、などテーマを絞る、あまり投稿しすぎずない、フォロー数をやたらと増やすことはしない、ことなんかを意識しながらやってみている。個人的にもTwitterは、興味のあるちょっと硬派な政治、経済、ビジネスネタを効率的に集めることが主眼で、誰かと「つながる」ことは情報収集の結果できればいいなと思っているので。

で、はじめてみると、WSJ, NYT, Techcrunchなどから海外ニュースの情報がどんどん入ってくるし、マーケティング絡み(特にSocial Media)の記事やつぶやきをRTしてみたところ、海外からのフォロワーが結構多い。でも、海外からのフォロワーはなんか怪しい。あなたもWebで大儲け、とか、歯を白くしましょうw、とかよくわからないつぶやきが多いやつばっかだった。しかも、フォロー数とフォロワー数が大体同じでしかも10万以上のものがほとんど。そんなのフォローし返しても意味がないので放置。

4日くらいでフォロワーが90くらいまでいったので、おおもうすぐ100までいくぞと思って今朝見てみたら一気に66まで減ってた。よくわからんけど、海外からのやつで怪しい記事が続いているのはほとんどスパムなんだろうな。こんな記事もあるし。

今のところお気に入りは、@ThomasCrampton。Ogilby ChinaのAsia-Pacific director of Digital Influence。中国中心にMarketing絡みのネタの選び方がよくて勉強になる。この人以外も代理店とかMarketing系の人は有益な情報を提供してくれててうれし。

翻って自分はなかなか提供できるコンテンツがないのだが、Global企業の企業統治とかその辺のネタを中心に考察を深められれば今の仕事と繋がるのでいいなと思っているところ。

残念なはてなブックマーク

Twitter引き続きはまり中。一番面白いのは先日も書いたが、海外メディアや英語ブログなどの情報を簡単に得られること。今までもDiggなどで海外Blogの情報を集めようとはしていたが、英語を読みきる粘り強さがどうもなくてなかなか効率的には情報が集められなかった。

一方TwitterBBC, The Economist, WSJ, NYTといったニュース系。NME, Rolling Stoneなどの音楽系。そしてTwitter検索をかけると欲しいテーマの英語情報がどんどん入ってくる。見出しを見るだけでも雰囲気がわかるのが嬉しい。TweetMemeというDiggはてなブックマークのようなサイトもあり、これも便利。

で、こうしてTwitterを使い始めるとはてなブックマークとか見てるのが悲しくなってくる。そこでホットとされるのは、ライフハック、モテ&非モテ、アニメ、ゲーム、お笑い、などなど。最近は特に2chのまとめスレみたいなのも増えてきたので、政治、経済とかも無知丸出しの極端な意見(例えば嫌韓)ばかりブックマークされる。少しまともなのでも、池田信夫ブログや金融日記など、いい点をついているのにどうしても極端な思い込みや、特定の事例の過度の一般化などが多くてなんだかなあという感じ。あと、自分の社会人感覚を信じると、就職して数年しても、モテるモテないとか、コミュニケーションをどうしたらうまくできるとか言ってる人がそんなに多いとは思えず、はてなブックマークって実際頻繁に使っているユーザーってすごく少ないのでは。具体的な数字とかは分からないけど。

梅田氏の「日本のネットは残念」発言後、ものすごい炎上があり彼はすっかり沈黙してしまった。しかし、こうしてTwitterを使い始めるとあの発言の気持ちが分かってくる。英語で発信される情報の厚みは既にすごいものがある。政治、経済、ビジネス、といった領域で自分が仕事をしていく上で参考になる情報がざくざくある。上記したように、今までは自分の情報収集の仕方、英語力、限られた時間、などの制約があってその凄みを体感できなかったのだけど、Twitterを入り口にしてみて初めてその辺がよく分かった。米国では既に新聞などの大手メディアは業績を悪化させ沈み始めているが、このソーシャルメディアで提供される情報の量および質、その深さを持ってすれば、新しいメディアが立ち上がってくるだろうと思わせるところがある。

それに比べて残念ながら日本は幾つかの良質なブログ(isologueなど)は存在するものの、ソーシャルメディアが新たなメディアとして機能することはまだ期待しにくい。だから、池田信夫氏を中心にして立ち上げた「アゴラ」なんかは貴重な試みだとは思う。ただ、池田氏自身がやや極端な意見の持ち主であることだったり、ライブドアのトップページは結局芸能やゴシップが中心の旧来のオヤジ系週刊誌系ニュースが多く、そこに埋もれてしまっているのが惜しい。高級紙というのが存在せず、ゴシップ紙(夕刊フジなど)がつい最近までやたら読まれていた日本らしい光景といえばそれまでだが、なんだかもったいないと思ってしまう。

ちなみにTwitterで英語記事のRTや英語でのつぶやきをすると、フォロワーが一気に増える。当分は日本語、英語両方でつぶやいてみて、どうなるか実験しようと思っている。

内需/外需の2元論はやめたほうがいいのでは

韓国とEU間でFTA交渉が妥結したと伝えられているが、それほど大きな話題になっていないように見える。しかし、リンク先の記事にあるように、自動車10%、薄型テレビなどの映像機器14%の関税が撤廃されるとなると影響は大きい。ここで含意されているのは、現代自動車およびサムスン、LGなわけだが、彼らは今回の経済危機の影響を比較的軽微に留め、例えばサムスンの2009年第三四半期の業績は純利益3兆7200億ウォン(約2870億円)と過去最高。ウォン安の影響もあるといえ、日本の電機が依然赤字に沈むのと比べるとその差は大きい。

そして今回のFTAここに詳細が簡潔にまとめられている。そのレポートによると、韓国にとってEUは年間貿易額(輸出+輸入)が中国に次ぐ2番目の貿易相手(全体の15%)。EUは加盟国数27カ国、人口5億人、経済規模は18.3兆(2008年)とアメリカ(13.8兆ドル)をしのぐ世界最大の単一市場。このレポートは8月のものなので最終合意の詳細はわからないが、工業製品については原則5年以内の関税撤廃を目指し、EUは3年以内に93%、5年以内にすべての関税を撤廃の予定。(韓国は3年以内に92%, 5年以内に99.5%)

ポイントとしては、韓国政府が2003年8月に「FTAロードマップ」を作成し、「FTAによる輸出促進、進出企業のビジネス環境改善を目的に、巨大市場を持つ先進国および成長が見込まれる新興国と、商品分野だけでなく投資、政府調達など包括的な分野で、「同時多発的」にFTAを締結する」ことを明記していることだ。実際、チリ、シンガポールASEANとのFTAはすでに発効されており、米国とは2007年に署名、インドとは今年の8月に包括的経済連携協定に署名している。こうした包括的なFTAは、韓国経済を支える輸出企業にとって確実にプラスだし、サムスン、LGなどの強みである積極的な投資、セグメント別のきめ細かい商品戦略などとの相乗効果を考えると、韓国輸出企業の好調はまだ暫く続くように思う。

朝日のニュースにあるように、今回のFTAの影響を個別商品で見ると、自動車および薄型テレビの高関税が撤廃されることは大きい。薄型テレビの世界シェアSamsung 21.9%, LG 12.9%, Sony 9.9%, Panasonic 9.1%, Sharp 5.9%(Revenue Share by Display Search, 3Q09)。サムスンとの差は依然大きく、LEDの展開も遅れをとった。Display Searchのこの調査によると、台数ベースで北米だと船井電機Visioを抜いて2位になったらしい。船井のような低価格品から突き上げもあり、ブランド力でも韓国勢にじりじりと差をつけられている現状で、日本の電機が薄型テレビに投じた巨額投資の着地点をどこに持ってくるのか難しいところ。エコポイントのような需要先食いの政策でなく、今回のEU-韓国間のFTAのような輸出を強化する政策を進めていかないといけないのだが。今の日本の議論でおかしいのは、内需か外需か、というなんだかよくわからない2元論で政策が語られているところ。

今後の経済成長の主体は、新興国もしくはEUのような新興国も含んだ市場にあるのは明確なのだから、そこに焦点をあてる戦略が必要なのは疑いないはず。もちろん、介護、環境、農業、といった内需規制緩和で刺激し成長させるのも大事。ただ、例えば農業の規制緩和は、例えば農業分野の関税撤廃によるFTAの推進、といった政策にもリンクするし、日本の成長を考える上で外需/内需の単純な2元論でない包括的な戦略が求められるのは当然だろう。

こんな日本にLo-fiはいかが

ロッキングオンを久々に買った。1994年特集。なんかロッキングオンも温故知新モードなのかなと思ったりするが、94年はカートが死んだ年であり90年代隆盛を誇ったアメリカのインディーロックの転換点であり、ロック史的には大事な年かなと。

特集では94年の100枚が選ばれていて、懐かしすぎて泣きそうになるが、個人的にはBeck, Sebadoh, Pavementに代表されるLo-fi勢のアルバムを特に思い出す。Sebadohの「Bakesale」なんかは本当に名盤で、自己否定、自己憐憫の塊だった自分をどれだけ肯定してくれたかと。Lo-fiっていうのはほんと不思議な音楽で、演奏技術はぜんぜん無くて、録音もチープで、メロディだってあるかないかわからないのに、静かに心を揺さぶるのだった。しかもその揺さぶり方は、メジャーな音楽が持つような強いフックではなく、廃墟に紛れ込んでるのになんか心は穏やかでにこにこしてしまう、もしくは静かに目から涙が流れてる、ってな感じ。その点でBeckの「Loser」のPVとかほんと見事にLo-fiの世界観を表現してる。

今の日本って今後もわりと絶望的でLo-Fi的な音楽って似合うと思う。でもどっちかというと、メジャーなJ-POPだと応援ソングが多いし、Radwimpsとかチャットモンチーもそんな暗くないね。なんか疲れた時に頑張れっていってもしょうがないし、「日本はもう立ち直れないと思う」@chikawatanabeとかいわれちゃうんだから、Lo-fiでも聴きながらみんなでへらへらするのがいいんじゃないんですかね。内田先生もこういってますし。

まあこういってる自分が仕事のことばっか考えたり本読んだりして、がんばるぞー、キャリア作るぞー、とかいまだに言ってるんだから実際は難しいんですけどもね。

Sebadoh 「Skull」

Bakesale

Bakesale

Beck 「Loser」

Mellow Gold

Mellow Gold

Twitterが殺す新聞の優位性

mixi日記で日常生活のこと以外書くのはやっぱ違和感があるので、リンクもこちらに移動。

iPhoneを使い始めて数ヶ月。使えば使うほどそのすごさがわかる。特にそのソーシャルメディアとの相性の良さは異常。Twitter, Flickr, Facebook, Googleリーダー。世界中に散らばる情報がどんどん効率的に集められる。

特にTwitterはすごく便利。RSS Readerだと、WSJとかBBCとか登録しちゃうと情報が多すぎてどれを読めばいいか悩むのだけれど、Twitterだとヘッダーだけ見て面白そうか取捨選択できる。これって実際の新聞を読んでる感覚と近い。見出しをぱーと見て雰囲気をつかんで、面白そうなやつは記事を読む。今まで(紙の)新聞の優位性だったこの一覧性がTwitterで得られる。しかもリアルタイムでどんどん情報が更新されるWebの特性を持っているから、情報も新鮮なものをどんどん得ることができる。今僕が日経を読んでるのって惰性もあるけど、社会の全体感を一覧して得られるからっていうのが大きいから、Twitterがこういう優位性を切り崩しているのは興味深い。まあ日経の場合は、今のところWebにすべての記事をUPする気はなさそうだから日経はまだ当分読み続けそうだけど。WSJがやっているみたいに、Subscriber onlyの記事に移行するしかないと思うけど、日本は年寄りが紙好きだから縮小均衡しながら紙の新聞は続くのかな。