一つの終わり

R.E.M.が解散を発表した。僕にとっては一番大事なバンドのひとつだったので驚いた。ただ、衝撃的とか悲しい、というのではなくて、個人的にもひとつの時代が終わっていくのだなという感覚。僕にとってロックは常に思春期の音楽で、R.E.M.の持つ文学性も自分の思春期的な部分を刺激してくれた。

で、僕も既に35歳。10〜20代で抱え込んでいた様々な葛藤は年と共に、また個人的な努力と共にだいぶ薄らいだ。まだその痕跡が残っているのを時折感じるのだけれど、少なくとも「思春期」的であることに価値を見出すところからは随分離れた。というわけでインディーロックを聴いてもなんだか懐メロ的に感じてしまい、最近はあまり聴くこともない。

その中でR.E.M.のAutomatic For The Peopleだけは、思春期的な甘さが排除されていながら、人生を語る普遍的なトーンに満ちており、時折聞いては心やすらぐ気持ちになっていた。彼等の解散はひとつの時代の終わり、というのを感じさせるけれど、月並みながら彼等の残した音楽はこれからの人生のそれぞれのタイミングで重要な意味をもつのだろうと思う。