貫井徳朗 「修羅の終わり」

修羅の終わり (講談社文庫)

修羅の終わり (講談社文庫)

行きの飛行機の中でこれも読了。貫井氏の本は「慟哭」だけ読んだことある。やはり出張に行くときの飛行機で読んだ覚えがある。なかなか密度が高いミステリーで、面白かった。ということで、「修羅の終わり」。3つの物語が語られ、それぞれが絡み合っているように匂わせながら話が進む。非常に分厚い本だけど、飽きさせず話はどんどん流れていく。

ただし、正直言うとストーリーはありきたり。テロを図る左翼組織を潰すべく奮闘する特高刑事が主人公のお話も、なんか左翼組織の描き方がすかすかでいまいち興ざめ。「慟哭」では、新興宗教の内部についてなかなかに執拗な描写があって楽しめたのとは対照的。

そして、醜悪なのは、女性の弱みに付け込んで折に触れレイプを行う刑事が主人公のお話。おいおい。人間の闇を描きたいんだか知らんが、余りにお粗末なり。一度読むと止まらないミステリーって面白いと思うけど、人間の暗部を描きたいが為にレイプを持ち出す作品って多くないか?東野圭吾白夜行」って素晴らしい作品だと思うけど、やっぱレイプが出てきた。良識派を気取りたいんではないけど、なんかお決まりアイテム的にレイプを持ち出すのってやっぱあほらしいと思う。

というわけで、まあつまらなくはないのだけれど、いろんなとこで??が頭を巡った作品だったのだった。