柴崎さん新作発売!

ということで、1月11日がやってきました。柴崎友香新作「また会う日まで」ISBN:4309018017!!喜び勇んで本屋に行くと、きちんと平積みになって売られていて、ほくそえむミーハーファンのわたくし。もったいないんでまだ最初の20ページくらいしか読んでません。前作もそうだったけれど、風景描写の巧みさに一層磨きがかかっていて、初期作品によく見られたほんわかした感じから、びしっと情景を描ききる方向に進化を遂げています。ある種の緊張感が漂っているといっていいくらい。と、僕の拙い説明を書くより冒頭部を引用してしまおう。

 実際、ドアが開いてプラットホームに降りると、駅は大規模な改装工事の最中だった。見上げると、暗い剥き出しの天井から、最低限の簡単な竿だけがついた蛍光灯がぶら下がって、端から端まで白い直線で光っていた。乗ってきた半蔵門線が出ていくのと入れ違いに、反対側に銀座線の柔らかい橙色のラインが引かれた車体が入ってきて、二つの電車の立てる音と警報音が複雑な形になった構内のそこら中に反響している。電車が出ていったあとの壁や天井のコンクリートは、煤けていて一段と暗い色に感じる

柴崎友香「また会う日まで」 P1

描かれた空間と、そこで光る色たちの組み合わせが絶妙で、リアリスティックな描写なんだけれど小説的空間に引き込んでくれる力のある文章だと思う。全部読むのがほんとうに楽しみ。当分は柴崎熱が続きそう。