ジュンパ・ラヒリ 「停電の夜に」

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

現在小説モードなので、読み漁り中。この作品は著者のデビュー作品ながらその技巧にうならされる。インド移民の2世である彼女にとってのインドは、郷愁の対象ではないし、かといって遠く離れた異国でもない。リアリズムに沿った端麗な文章が続いているのに、何故かそこには不思議なほど神話性が宿っている。短編集で取り立てて大きな物語が語られるわけではないけれど、作品終盤にびしっとリズムを変える文章が入っていてストーリーはそこで区切りを迎える。その手さばきも鮮やか。

ようやくミセス・クラフトが言いたいことを口にした。疑わしさとうれしさを等量に込めた、あの口調だった。
「完璧。いい人を見つけたね!」
今度は私が笑う番だった。そうっと笑ったからミセス・クラフトには聞かれなかったろう。だがマーラは聞いていた。そして初めて、私たちは見つめ合い、笑顔になった。
三度目で最後の大陸 p256-7

早速読了したので、初長編の「その名にちなんで」も今日購入。

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

ちなみに「のだめ」1,2巻がセブンイレブンで売ってたので衝動買い。

のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

さっき夕食食べながら1巻読んだけどやたらと面白いねこれ。